Kii Cloud を使うメリット

Kii Cloud を使うと様々なメリットが生じます。ここでは、メリットを以下の 5 つの観点からご紹介します。

開発コストの削減

Kii Cloud を使うと、サーバー側の開発が不要になります。

従来の手法でモバイルアプリや Thing をインターネット化するには、サーバーの構築が必要でした。リリースまでにはプロトコルや API の設計、仕様調整、サーバープログラムの実装など、多くの作業が必要となるうえ、それらの作業にはモバイルアプリや Thing の開発とは異なる技術が必要です。

Kii Cloud では、サーバー側の機能がクラウド技術によって汎用的な API として公開され、モバイルアプリや Thing からすぐに利用できます。クライアント側の作り込みだけで、モバイルアプリや Thing を低コストかつ短期間でインターネット化できます。

運用の負担軽減

Kii Cloud を使うと、サービスの提供期間全体にわたるサーバーの運用から解放されます。

モバイルアプリは一旦開発して配布するだけでエンドユーザーが利用できますが、サーバー機能はサービスが廃止されるまで、24 時間 365 日に渡る監視と緊急時の対応が必要になります。

以下のような運用作業が可能な体制を、リリースしたサービスごとに取り続けることは大きな負担となります。

  • トラブルへの迅速な対応:迅速なトラブル対応のためには、サーバーの独自仕様を熟知している担当者を保持し続ける必要があります。
  • スケール調整:ユーザー数の変動に応じて、サーバーの負荷分散の調整が必要です。
  • セキュリティパッチの適用:導入した OS やミドルウェアの更新状況を常に収集し、問題のある更新には即座に対応する必要があります。

Kii Cloud では、こうした運用作業を専任のサーバーエンジニアが担当します。サービスの運用状況を常に監視し、必要な対処を行っているため、サービスのリリース後に生じるリスクを最小限に抑えることができます。

明確なセキュリティの責任分界点

Kii Cloud では、サーバーのセキュリティに対する責務を開発者が負うことなくサーバー機能を利用できます。サーバーのセキュリティに対する責任範囲は Kii 株式会社のまま、独自のインターネットサービスを構築できます。

Kii Cloud が提供している機能では、開発者がサーバー機能拡張などでサーバーをカスタマイズしても、プラットフォームとしてのセキュリティは低下しません。一方、VPS(仮想専用サーバー)などを利用する場合、サーバーにインストールしたデータベースなどの運用管理が不完全だと、セキュリティの低下を招きます。こうした点で、開発者のセキュリティに対する責任範囲が、他のサービスより小さくてすみます。

なお、アプリケーションレベルのセキュリティは開発者の責務になります。例えば、管理者権限でデータにアクセスする Server Code を匿名ユーザーからアクセスできる機能を実装した場合、その機能の不正な利用によってデータが参照されるリスクが生じます。このような注意点は セキュリティ で説明しています。

IoT によるビジネスの発展

Kii Cloud を使うことにより、ハードウェアの IoT 化を容易に実現できます。既存の製品とモバイルアプリとの連携を短期間で実現できるほか、クラウド上のデータを使ったビジネスの発展も期待できます。

ハードウェアのみでは、性能、精度、品質、価格などの尺度で評価されがちで、これらが一定水準以上になると競争の激しい既存市場の中に埋もれかねません。

様々な製品を Kii Cloud に接続してモバイルアプリと連携することにより、製品に新しい付加価値が生まれ、別の評価尺度で勝負できます。さらに、モバイルアプリの利用を通してクラウド上に蓄積されたデータを利用することにより、新しいビジネスを生み出せることも期待できます。

サービスと開発チームの質の向上

Kii Cloud を使うことにより、サービスの質そのものの向上が期待できます。さらに、サービス品質の向上を目指して活動できる強い開発チームを作るきっかけにもなります。

サーバー側を独自実装する場合、通常はクライアントとサーバーのチーム間でプロトコル仕様をすりあわせておき、開発やテストではそれに従って開発します。このスタイルでは、サービスの使い勝手や機能性を重視するつもりでいても、プロジェクトを無事に完了させるようとすると、チーム間ですりあわせた仕様どおりに作ることを最優先にしてしまう傾向があります。

Kii Cloud を使う開発では、基本的にクライアントチームだけで作業を行えます。つまり、クライアントチームが主体的にサービス仕様全体をコントロールできます。サーバー側の機能は汎用 API としてすぐに利用できるため、思いついた変更をすぐに試し、試行錯誤を繰り返してサービスの質をよくする活動に集中できます。この方法では、サービスへの理解が深まった後半の工程のアイデアも仕様に反映されるため、エンドユーザーにとってより有用なサービスになるはずです。

さらに、開発チームの行動の側面で見れば、すりあわせた仕様どおりのものを作るという活動が、サービス品質に対するこだわりをもった活動に転換できることを意味します。Kii Cloud の導入によって、サービスそのものの質を重視できる、活力のある開発チームとなる効果も期待できます。